はじめに
こんにちはscene(シーン)です✋
去年の9月にバイクで岐阜県〜長野県〜山梨県〜静岡県と3泊4日のツーリング旅行に出かけた時の話です。
前回の養老の滝を後にした僕は、次の目的地で世界遺産の『白川郷』へ向かいます。
『白川郷』はこの旅で是が非でも訪れたかった場所、期待に胸を膨らませバイクを走らせます。
大垣市から岐阜市内を抜けて国道156号を郡上市方面へ、緑豊かな岐阜県の街並みの中を走り抜けます。
そういえば周りの景色も朝よりは明るくなってきました。
雲の隙間から時々おひさまが顔をのぞかせてくれて、天気は回復傾向に。
のちにわかることですが、この晴れ間がこの旅の唯一のものとなります。(笑)
笑えませんね。(涙)
そんな事も知らず気分良く街道から徐々に山間部へと変わっていく景色を堪能しながら走っていくと、道路と並行して流れていた長良川の川幅も狭くなっていきます。
冬のスキーリゾートなどで有名な地域を抜けて国道を進み荘川町に入ると、突然川幅が広くなりだし、そこからさらに白川村へと進むと目の前に神秘的なダム湖が現れます。
御母衣湖
*音声のボリュームにお気をつけください。
岐阜県大野郡白川村の庄川本流に建設された御母衣ダムです。
湖畔にちょうどバイクを停車するスペースがあったので休憩がてら立ち寄ります。
道路沿いなのですが、車両の往来も少なくて、絵に描いたような湖畔の風景と大自然の中で静寂に包まれます。
もちろんダム湖なので、建設に伴ってこの湖の底にかつての街が沈んでいるわけですが、そういった街の方々の苦渋の決断や培ってこられた歴史のおかげで僕達は豊かな資源を得られている事を忘れてはいけない。
ただ与えられた物を費やすだけでけの者になってはいけない。
その財産を大切に守り、後世へ引き継ぐ事が僕達の役目であるとともに、出来ればより価値のある財産を築き伝える事が、先人達の功績に報いる事になる。
綺麗な風景、素晴らしいもの、便利なものは、はじめからそこにあるわけではなく、自然の力や誰かの手によって生み出され守られてきたものだということを忘れてはいけない。
そんな思いにふけりながら、先人達の築かれたオアシスを堪能します。
今から向かう白川郷もそんなかけがえのない財産。
この旅で僕が一番訪れたかった場所です。
白川郷①
御母衣湖で改めて先人達が残してくれた自然や資源の大切さを確認した僕は、世界遺産『白川郷』へと向かいます。
そんな白川郷は国道156号を右折して道なりに進むと突然目の前に大きな整備された駐車場が現れます。
駐車場の係員の方に誘導されてバイクをとめた場所が上記の写真と地図の場所で、せせらぎ公園駐車場です。
上記の写真の目の前に見える三角屋根の建物は総合案内所とトイレです。
何やらガチガチに整備されて、いかにも観光地という雰囲気をかもし出しています。
とにかく行ってこの目でどんな所か見てみようと思い、腰にはウエストバック、首にはデジカメをぶら下げて案内図の方へと向かいます。
案内図を見ると、ここから右へと進み、庄川という川に掛かる吊り橋(であい橋)を渡った先が合掌村みたいです。
この橋が現代と過去をつなぐであい橋です。
そんなに川面から高い場所に掛かっているわけではありませんが、庄川の激しい流速を見ていると飲み込まれそうになります。
実は僕、高所恐怖症だったりします。(泣)
おそるおそるへっぴり腰で橋を渡ると、先程駐車場で感じた雰囲気とは良い意味で違い、ここから先は過去へタイムスリップしたような古き良き時代の日本の原風景、ノスタルジックな世界へといざなわれます。
先程の現代と過去をつなぐ橋、そんなに大げさな表現でもないようです。
橋を渡ってすぐ左手を見るとであい橋の石碑があります。
長さ107m、幅15〜40m、平成5年7月にできたと書かれています。
この石碑の奥に見える建物が秋葉神社です。
こちらは秋葉神社を正面から見た写真です。
その昔、火災の多かったこの集落をそういった災害から守るために建立されたそうです。
秋葉神社の鳥居を逆から見た写真です。
参拝は反対側からですね。
僕は先程駐車場で、ガチガチに整備されていかにも観光地という雰囲気をかもし出しているなどと言いましたが、全面撤回します。
橋を渡ってからはまさに日本の原風景で別世界です。
しかも現代の技術で良く整備されていて、古くさびれた感は皆無です。
このブログのテーマであり、僕の好きな言葉でもある、古きよきものと新しき便利なものとの融合ともマッチしていて、非常に心落ち着く素敵な空間です。
先程の秋葉神社から真っ直ぐ歩いてくると白川郷の象徴とも言うべき三角のかやぶき屋根の建物が並んで見えます。
たぶんヨーロッパの方でしょうか、とても穏やかな顔でニコニコしながら、ずっと眺めておられました。
外国の方がいにしえの日本の姿に興味を持ってくださる事に僕も思わず嬉しくなり、その横でしばらくの間ニヤニヤしながら眺めていました。
こんな時に英語が話せたらいいのですが、母国語の日本語もまともにしゃべれないのでまず無理です。(笑)
先程の四差路を左に曲がって右手を見ると、年代物のお寺の鐘があります。
こちらは明善寺という浄土真宗大谷派の寺院で、写真はその境内にある明善寺の鐘楼門です。
鐘楼門の奥にある建物が明善寺の本堂です。
もちろんどちらもかやぶき屋根ですが、本堂だけ少し違ったものになっています。
こちらの真新しいかやぶき屋根の建物はお食事処です。
一階の部分が無ければ周りの風景と同化していてお食事処のように思えません。
稲穂越しの風景があまりにも綺麗なので思わず撮ってしまいました。
こちらはお食事処ではありません。
実際に住民の方が日々の暮らしを営んでおられます。
そんな住民の方々にとって僕達観光客は日常生活の妨げになるかも知れませんが、国にとっては、この場所に居住されて生活されている現実こそがとても価値のある事でそれをなるべく妨げないように協力して、一緒に守っていかなくてはなりません。
こちらはお菓子や民芸品を販売しておられる合掌庵です。
建物と庭が古風でオシャレだったので一枚撮らせて頂きました。
写真のように、この日は日曜日で大勢の観光客で賑わっていました。
この日だけではないと思いますが、日本人よりも圧倒的に外国人の方が多いし、その国籍は様々です。
僕のあてにならない語学耳で話しておられる言語をヒヤリングしたところ、英語・中国語・韓国語・イタリア語・ドイツ語・ポルトガル語・スペイン語と様々な言語が飛びかっていました。
日本人は僕だけじゃないかというくらいに超アウェイでした。
カメラのレンズで被写体を覗きながら考えます。
こんなに価値のある素晴らしい場所になぜ日本人はあまり訪れないのか?
僕が岐阜県内に住んでいるのなら毎週でも訪れたいぐらいです。
まあでも、若い方はあまり興味がないかもしれませんね。
それにしても、お年寄りの方もあまり見かけなかった気がします…。
自分の国の一番守るべき文化の賜物に興味が無いのは、少しさみしい気がします。(涙)
白川郷にはこういった観覧や宿泊用に整備された家があります。
もちろん外観は他の家と何ら変わりはありません。
こちらは観覧用の建物で神田家というお家です。
今から約170年前に建てられたそうです。
こちらは床を高床式にした穀物倉庫です。
珍しい建物ですね。
僕も田舎育ちですが、こんなに高台に建っているのは初めて見ました。
最後にどれだけ調べても何なのかわからない三角屋根のオブジェみたいなのを載せてみました。
次回行った時に何なのか聞いてみます。
まとめ
まず何よりも私事ですが雨も上がって晴れ間まで出できて大変喜ばしいかぎりです。
いつも肝心な時に晴れたためしがない。(愚痴)
この旅で一番訪れたかった場所を天気の良いなか観覧できた事は何よりの幸せです。
さらに望郷の念にかられるような古き良き時代の世界を体験できて、心の糧にもなりました。
思い描いていた以上に『白川郷』は素敵な場所で我が国の財産です。
ぜひ、訪れてみてください。
特に日本の若者へオススメします。
きっと自分の国の事が大好きになります。
この度もご覧頂きありがとうございました。
次回は今回伝えきれなかった白川郷の魅力の続き、岐阜県の観光スポット『白川郷②』をお送りします。
それではまた✋
小説「慈愛のこころ」
少年編30
薫はたくさんいる人気レスラーの中でも特にタイガーマスクが好きだった。
隆司のアテは当たった。
プロレスの話題からこないだのタイガーマスクの話題に広げると、薫は列車の時間も忘れてのってくる。
「プロレスごっこ約束やで。」
「うん、かあちゃんと絶対行くから。」
「今度は負けへんで!」
「隆ちゃん弱いからなぁ。」
薫は眉をひそめる表情をして隆司を挑発する。
それを見て隆司は、
「いつも負けたってねん!」
と言い返す。
隆司は本当にいつも手加減して薫に技をかける隙を与えていた。
それはお互い承知の上なのだが、実際の所、女の子の力でも技の種類によっては結構痛い。
それでも薫が前のような笑顔を取り戻してくれるなら、少々の痛みは二の次だ。
僕は男の子だから我慢できる。
プロレスの話題ですっかり元気を取り戻した薫の笑顔を見て、隆司はあの痛みを思い出しながらもなんだか自分の事のように嬉しくなって笑みをうかべる。
一方、母親同士も今生の別れではないにせよ、別れというものはどのような形であれ辛いもので、複雑な心境がお互いの表情にあらわれている。
特に春子の方は、生活環境が変わりこれからの人生への不安感でいっぱいな親友に対してどんな顔をしていいのかわからない。
とにかく何も無くても頻繁に連絡しあえるよう、お互い声をかけあう。
それからほどなくして無情にもホームに列車が到着するアナウンスが流れる。
いよいよ薫との別れだ。
アナウンスとともに列車は到着して乗降口の扉が開く。
隆司は前もって決めていた。
サヨナラという言葉を口にしない事を。
「薫ちゃん、ほんじゃまたね。」
いつもいっしょに遊んだ後、家に帰る前に交わす言葉だ。
サヨナラを言ってしまうと、もう二度と会えないような気がして泣いてしまう。
男なのに。
「うん、隆ちゃんまたね。」
つづく
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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