はじめに
こんにちはscene(シーン)です✋
去年の9月にバイクで大阪の自宅を出発して、岐阜県〜長野県〜山梨県〜静岡県と3泊4日のツーリング旅行に出かけた時の話です。
あらかじめ宿泊先をサイトで予約して、そこを起点に夏の涼を求めて山間の万緑を満喫しながら、初めて訪れる観光地を楽しむ、気楽な一人旅です。
前日からの蒸し暑さの残る早朝に自宅を出発します。
最初に旅の目的とは別で寄りたい場所があるので高速に乗り、滋賀県の米原市を目指します。
以前にブログで書きました、グリーンパーク山東の記事に掲載する写真を撮りたくてバイクを走らせます。
ある意味僕にとってはとても大切な目的ですね。
いつもながらの曇天で澄み渡る青空の写真は撮れませんでしたが、旅のはじめにグリーンパーク山東内の緑あふれる公園を散策できて、晴れやかな気持ちで次の目的地へ向かうことができました。
そのグリーンパーク山東を出発して国道365号を岐阜県大垣市方面へ走り、途中、合戦場で有名な関ヶ原を経由して、1時間余りで最初の観光地、『養老の滝』へ到着します。
この滝は揖斐関ヶ原養老国定公園に指定されている養老山の中腹にあり、滝へ向かうにはクネクネの山道を登り養老公園内の駐車場に車両をとめて、そこから下りの坂道を歩いて約10分ほど滝まで移動しなくてはいけません。
足腰が丈夫な方でなければ少し険しい道のりですが、駐車場からの濃尾平野の眺望と滝までの遊歩道の景観は一見の価値有りです。
養老の滝
上記の場所が滝に一番近い、車ならちょっと料金高めの有料駐車場になります。
この駐車場の奥の滝見亭を越えた左手に、滝へと降りて行く遊歩道があります。
駐車場からの濃尾平野の眺望です。
天気が良ければわざわざここまで足を運んで撮影に訪れる方がいるぐらいに絶景なのですが、今日は僕のせいで霞がかっています。
いつものことです。(泣)
こんな感じの下り坂をひたすら滝まで降りていきます。
この遊歩道からも濃尾平野がチラホラと見えますし、もっと下へ降りて行くとマイナスイオンたっぷりの樹々の中を歩いていきますので退屈はしません。
肌色に舗装された遊歩道を降りて行くと左手に祠があります。
何の祠か分かりませんが、旅の無事を祈ります。
祠の先も整備された肌色の遊歩道が続きます。
しばらく歩くと周りの景色は一変して、緑一色に染まった自然豊かな風景に深く包まれていきます。
古の賢人が好んでこの滝を訪れた意味がわかるような気がします。
前日に結構な雨が降ったにもかかわらず、水がとても綺麗です。
元々水質の良さで有名な所ですが、豪雨の後でも濁りひとつありません。
周りの景観を堪能している間に到着してしまいました。
ここからが滝のあるエリアになります。
*音声のボリュームにお気をつけください。
エリアの入口からまっすぐ行った突き当たりに、ここが神社でいう絵馬掛け所になるのか、小規模ですが絵馬のたくさんかかった滝があります。
神聖で涼やかな水の音が心地よいです。
*音声のボリュームにお気をつけください。
絵馬掛け所から向かって左手を眺めると、ゴォーっという音とともに、滝本体を望むことができます。
思ったより迫力があって壮大な滝です。
何やら今日は滝行している所を撮影しているみたいです。
滝壺まで近寄ってみます。
よく見ると先程駐車場で本格的なカメラや撮影機材を担いでおられた方々でした。
どうりで普通に趣味程度で撮影に来られている方とは雰囲気が違っていたはずです。
*音声のボリュームにお気をつけください。
これが日本の滝百選にも選出されている、落差30m級の『養老の滝』です。
目の前まで来ると、昨日の雨の影響もあってか水量多目で水しぶきがかかります。
それがまた火照った体をクールダウンさせて最高に気持ちいい。
撮影の邪魔にならない所でしばらく森林浴と清涼を楽しみます。
あまりにもの気持ち良さに、ベンチでもあればそこで寝てしまいそうです。
やはり、夏に滝は定番ですね。
もう少しゆっくりしたいところですが、撮影の邪魔になるので、滝壺より一段下がった木陰へ移動します。
*音声のボリュームにお気をつけください。
*音声のボリュームにお気をつけください。
ここからの風景もまた格別です。
下から見上げることによって滝の迫力がより増します。
しかし何といっても水が綺麗で、多分飲めるぐらいだと思います。
あとでよく調べると近くの養老神社からは菊水泉という名水百選にも選ばれた湧水がでるそうです。
そんな滝の名水は、ここから津屋川へそそがれ揖斐川と合流し、伊勢湾へと流れでて豊富な水産資源の源となります。
まとめ
最高の癒しの空間に後ろ髪を引かれる思いにかられながら、もと来た道を引き返します。
大した距離ではありませんが、登りはやはりキツイ。
すっかりクールダウンした体が再びヒートアップし、駐車場に到着したときには汗だく状態です。
バイク置き場まで戻り、洗濯したてのタオルに交換して駐車場のいちばん奥にあるトイレに行った後、手洗い場で火照った顔を洗います。
現地の山水を引いて手洗いに使っているらしくて、氷水みたいに冷たくて気持ちいい。
「めっちゃ!気持ちいい!」
とひとり感嘆していると、駐車場の管理のおばちゃんが自転車でやってきて簡易トイレの掃除を始めました。
そして作業をしながら、
「冷たくて気持ちいいでしょ?」
「おにいちゃん、どっから来たの?」
と気さくに質問を。
「大阪からです。」
「ここをはじめに何日かかけて岐阜〜長野〜山梨〜静岡とまわろうと思ってます。」
「へぇー!この暑い中大変やね。」
「若い人達バイクでよく来られるけど、夏と冬は大変やね。」
「そうですねぇ。出来れば乗りたくないですねぇ。特に冬は。」
「まあでも、夏は好きなのでまだマシですわ。今日はここに、滝と景色を見に来たんですけどあいにくの曇りで…。たぶん僕のせいですわ。」
「雨男なんで。」
「えー!おにいちゃんのせいかいなぁ!昨日ぎょーさん降ったもんねぇ!」
「それ僕ですわ。すんません。」
管理人のおばちゃんとそんな世間話をしながら、しばらくの間冷たいタオルを額に当ててクールダウンする。
晴天時の再訪をおばちゃんと約束したタイミングで、あまりゆっくりもしていられないという事もあって、バイクの所まで戻り次の目的地へ出発する準備をする。
今日はこれから白川郷を観覧して、飛騨高山の宿まで約240km走らなくてはならない。
山の上だというのに日が高くなるにつれて、気温も上昇する。
せっかく引いた汗もヘルメットをかぶるとまた流れ落ちてくる。
エンジンをかけ、ナビをセットして、先程の管理人のおばちゃんとおっちゃんに、
「ありがとう!また来まーす!」
とあいさつを済ませ、もときた山道を下り先を急ぐ。
最後の言葉、
「また来まーす!」
は社交辞令ではなく、心の底からでた本心です。
濃尾平野の素晴らしい眺望こそ見れませんでしたが、風光明媚な滝と深く神秘的な森に囲まれた景観は、何度でも訪れる価値ありです。
できれば天気の良い日に…。(笑)
この度もご覧頂きありがとうございました。
次回は岐阜県の観光スポット『白川郷』をお送りします。
それではまた✋
小説「慈愛のこころ」
少年編29
春子の話によると薫達親子はひとまず実家のお世話になるらしい。
それがどこにあるかは、春子に聞いても幼い隆司には理解しがたく、関東から東の方の行った事もない田舎町だそうだ。
春子と隆司の存在にいち早く気づいた薫の母親は、
「薫ちゃん、ほら。隆ちゃん来てくれてるで。」
と薫のももを叩く。
天井を見上げていた薫はそのまま視線をずらして2人を見つめ、
「隆ちゃん来てくれてんな。」
とベンチから立ち上がって、精一杯の笑顔で喜びを表現する。
その少し引きつった笑顔を見て、隆司は複雑な気持ちで言葉に詰まる。
春子がそっと無言で隆司の肩に手をかける。
そこで隆司はこの場へ来るまでに春子からレクチャーを受けていた薫を元気付ける魔法の言葉を思い出し、それを合図とともに実行してみる。
「薫ちゃん元気でな。冬休みにかあちゃんと一緒に遊びに行くし、そん時またプロレスごっこしよ!それまで待っててな!」
と薫の少し潤んだ瞳を真っ直ぐ見つめながら、いつもの次に会う時の約束のように話しかける。
春子のレクチャーは、
「とにかく悲しくなるような話はダメ。薫ちゃんが楽しくなるような話をしなさい。」
そう言われていた。
隆司は一生懸命に楽しい事を思い出した。
そして薫は男勝りなところがあって、無類の格闘技好きだった事を思い出した。
隆司自身も片っ端からからレスラーの名前と得意技を言えるぐらいに大好きだ。
2人が男女を意識する事も無く今よりもまだ幼かった頃、よくプロレスごっこをして遊んだものだ。
技のかけあいを競ったり、好きなレスラーの話をしたりした。
お互いを異性として意識するようになってからはそんな機会もほとんどなくなっていた。
しかしついこないだ、商店街で初代タイガーマスクの貼り紙を見かけた話を薫にすると、そこからプロレス談義に火がついて盛り上がり、これ以上ないぐらいに生き生きとして心から楽しそうに話す薫の光景を思い出し、子供ながらにコレしかないと思ったのだ。
つづく
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。