はじめに
こんにちはscene(シーン)です✋
ようやく緊急事態宣言も解除され、今まで制限されていた分、思いっきり旅やレジャーを楽しみたいところですが、特効薬もワクチンも無い私達は未だに前と変わらず無防備です。
悲しくて悔しいですけど、自粛中と同じような生活を続けていかなくてはなりません。
最近では、このような耐え忍びながら試行錯誤し工夫をこらす生活も、今が何不自由なく便利な世の中だからこそ、貴重な体験なのではないかと思うようになってきました。
もちろん、「何を呑気な事を言っているんだ!こっちはそれどころじゃないわい!」という状況の方もいらっしゃいます。
そんな方々も苦難の先に必ずやってくる、明るく楽しい世界を信じてみたいと思いませんか?
僕は単純でポジティブなので、この自粛生活が無駄な時間だとは思っていません。
良い時も有れば悪い時も有るし、明けない夜は無い。
諦めなければ目の前にひと筋の光が必ず差すことを信じて、今回も楽しく過ごした旅の記録をご紹介します。
また笑って旅に出かけることができる日を願って…。
立石公園を後にした僕は、長野県の最終目的地、『奈良井宿』という宿場町へと向かいます。
まずは塩尻の市内に出て、国道19号を奈良井川沿いに木曽町方面へとバイクを走らせます。
塩尻の風光明媚な街並みを堪能しながら走っていると、何だか自分が夢の中にいる様で、目的地へと向かっている事を忘れるぐらいに心地良い気分になります。
ボーッと周りの移りゆく風景を楽しんでいると、情緒ある宿場町へといざなう、その名も奈良井宿という交差点を危うく通り過ぎそうになり、慌てて右折のウインカーを出すと同時にハンドルと車体を右へと傾けます。
もちろん直進車はいませんが、後ろに車両がいたならばと思うと、ゾッとします。
ドキドキの右折の後、路は左にカーブして真っ直ぐになり、左手に道の駅奈良井木曽の大橋が見えてきます。
それが下記の写真の場所で、奈良井宿の駐車場です。
奈良井宿
*上記は駐車場の場所です。
天候があまり良くないせいか、駐車場はガラガラです。
バイクをとめて、雨が降りださないうちに観覧の準備をして線路の反対側の奈良井宿へと向かいます。
周りを見渡すと良く整備されていて公園のようになっています。
上記は中信森林管理署奈良井贄川(にえかわ)合同森林事務所前の駐車場です。
めっちゃ長い名前ですね。(笑)
ちょうど案内板があるので見てみます。
………。
あれ!
カメラのレンズに水滴が!
まさか雨粒じゃないですよね?
気のせい、気のせい、と楽観的にもう一枚の奈良井宿の歴史について書いてある看板を見つけ眺めます。
たぶん本当はこんな事をしている場合ではないと思うのですが…。
駐車場を出て左側へ少し歩きます。
おっとっと!
こちら側ではありません。
最初間違いそうになりました。
線路の反対側へ行くには、駐車場を出て右側の奈良井宿市場土産物店の前を通って、線路沿いのスロープを下って、線路下のアンダーパスをくぐらなくてはいけません。
その奈良井宿市場土産物店前の横断歩道です。
これを渡ります。
ここにも案内図。
何だか一段と空が暗くなってきたような気がします。
気のせい、気のせい。
先程言っていたスロープを下り、線路下のアンダーパスをくぐり抜け向こう側に出ます。
かなり狭い路地なので往来する際には対向者に注意して進んでください。
こちらが線路の反対側になります。
小さいですけど突き当たり正面に道案内の看板がかかっています。
奈良井駅・奈良井宿 100Mだそうです。
親切ですね。
スロープを登って出たところを右へ行くみたいです。
ここまでは閑静でのどかな田舎の街並みといった感じです。
記憶の引き出しから先程の案内板を思い浮かべると、どうやら奈良井の宿場町はあの先の別れ路を左に曲がった先みたいです。
何だかドキドキしてきました。
期待しながら歩を進めます。
そして角を曲がるとそこは…。
時代劇に出てくるような、江戸時代の街並みでした。
めっちゃいいですねぇ!
どこを撮っても、どの角度から観ても、どんなシュチュエーションや時間帯でもこの宿場町の歴史と風情をかもし出してくれるでしょう。
夜のオレンジ色のあかりが灯った、あたたかな雰囲気などは特に良いかもしれません。
やっぱりバックは雪景色ですかね。
そんな事を考えながら撮影していると、奈良井宿のことがとても好きになり、いつまでこうしていたい気分になってきました。
けど。
あれ?
傘さしてますよね?
通行人の方達。
撮影に夢中で気づきませんでした。
向こうの空がだんだんと暗くなってきてます。
本当に何だか雲行きが怪しくなってきました。
これ、僕の予想だときますね。
豪雨。(泣)
人生で数えきれないぐらい大雨に見舞われていますので、こんなしょーもない予想は的中します。(苦笑)
たぶん雨男ですから。(涙)
そんな冗談言ってる端から降ってきました。
雨粒はどんどん大きくなり、やがて隙間のない集中豪雨のような雨が傘をさしていても、ズボンのすそを濡らします。
たまらずその辺の軒先へ入ります。
しばらく経っても雨は小降りになったものの、止みそうにもありません。
仕方なく退散することにして元来た道を戻ります。
本当はお店などに寄ったりして、もっと奥の方まで細かく観覧したかったのに、またもや雨にやられました。(泣)
諦めきれず、曲がり角の石碑と案内板をパシャリ。
案内板にも書かれているように、たくさんのお店や寺社などもあって、天気が良ければ見どころ満載です。
名残惜しくも線路沿いの路地をパシャリ、パシャリと二枚も撮ってしまいました。
やっぱり晴れの日がいいかな?
と首をかしげながら、線路下をくぐって駐車場に戻ります。
すると。
おや?
なんじゃこりゃ?
めっちゃ興味の湧く被写体が!
駐車場に到着した時には、宿場町へ行くのに気を取られていて気づきませんでした。
この古い鉄道車両は駐車場横の「カフェ深山」の敷地内に展示されていて、木曽森林鉄道の車両だそうです。
こんなに古い車両はあまり見たことがないので、物珍しくひときわ目立ちます。
展示されている鉄道車両を挟んで向かい側が奈良井宿の駐車場で、上記の写真はトイレです。
あまりにも名残惜しく、旅行から帰って色々ホームページとかで検索すると、他にも木曽の大橋や神社・仏閣などたくさんの見所があったみたいです。
天候も悪く、行き当たりばったりの旅なのでどうかご容赦ください。
まとめ
ここ奈良井宿で長野県の旅は終わりです。
明日はお隣り山梨県を目指します。
長野県はもっといろんな場所を訪れる予定でしたが、諸事情で3箇所しか立ち寄ることができませんでした。
バイクツーリングを楽しむ者にとって長野県は憧れのツーリングスポット、それぐらいに魅力的な場所がたくさんあって、観光スポットを絞るのにも苦労します。
次回はスケジュールに余裕を持って、長野県だけ単独で訪れるのもひとつの方法かもしれません。
そんなツーリングの聖地・長野県の観光スポットのひとつ奈良井宿は江戸時代に江戸と京都を結ぶ中山道の宿場町。
古の旅人が旅籠の入口から旅笠をかぶってひょっこりと出てきそうな、当時のままの姿を色濃く残した風情のある街並みでした。
駐車場もあってアクセスも良いですし、この度ご紹介できませんでしたが、お食事処・雑貨屋・土産物屋などたくさんのお店もありますので、ぜひ訪れてみてください。
街の中を歩いているだけでも何だか、日本人の心をくすぐり、DNAに問いかけるものがあります。
僕もいつかまた、旅に出かけることができる日が来たら、もう一度訪れて、今度はいろんな店にお邪魔してみたいと思います。
この度もご覧頂きありがとうございました。
それではまた✋
小説「慈愛のこころ」
少年編34
もちろん手紙の封は開いていない。
隆司はそれを悪夢から覚めた面持ちで受けとり、一度は大切にそっと膝の上に置いた。
「やっぱり、かあちゃんが持っといて。」
そう言って、一旦受け取った手紙を春子に差しもどす。
「読まへんの?」
と春子は隆司に聞こうとしたが、息子の複雑な心中を察して言葉をのみこむ。
春子の心配りは的中した。
隆司は薫の死を受け入れる事が出来ずにいた。
幼い隆司にも薫がもうこの世に存在しない事ぐらいはわかっている。
そうじゃない。
この手紙の封を開ける事によって、思い出の中の薫までもがどこかへ飛んでいってしまい、もう二度と思いだすこともできなくなりそうで怖かった。
そんな心の葛藤も時の流れによって緩和され、のちにこの手紙の封を開ける決心がついた時、あまりにもの自分未熟さと不甲斐なさに後悔してやまない気持ちになるのだが…。
春子はすぐにでも親友の元へ駆けつけたかった。
しかし、同じ母親として我が子を失った親友の元へどんな顔をして会いに行けばいいのかわからなかった。
どんな言葉をかければいいのか?
元気付けた方がいいのか、一緒に悲しんだ方がいいのか?
あまりにもの身近な存在の不幸に、春子も動揺していた。
結局、スケジュールの都合と場所が遠方な事を理由に電報だけ送り通夜と葬儀には参列しなかった。
初七日が過ぎ少し落ちついた頃に、思い切って一度連絡する事にした。
その時薫の母親は、今もなお我が子の死というショックから抜けきれず、体調をくずして寝たり起きたりを繰り返している様だった。
親友は電話の向こうでそう言いながら、泣いていた。
春子はあまりにも心配で居てもたってもいられず、かける言葉も持たないままで親友の元へ向かった。
親友は少しやつれていたけど、昔話や冗談を言い合いながら話していると顔色も多少良くなって、持参したケーキもペロリとたいらげてくれた。
もっとはやくに来るべきだった。
そう春子は後悔したと同時に、隆司をこの場に連れて来なくて良かったと、心の片隅で思った。
一人の大切な存在を失ったそれぞれの心の痛みは、流れ行く時間がそっと洗い流してくれた。
薫を失ってから数年後の春、隆司は小学校に通い始める。
その日は校庭の桜が満開に咲き誇り、雲一つない空が心までも晴れやかにしてくれる様な穏やかな日だった。
つづく
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
www.scene-no-mottainai-blog.com
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